猫を飼っていた人向け 退去費ぼったくりと戦って20万円取り返した記録

前提:壁がひっかき傷だらけだった場合などはこの記事は参考にならない可能性が高い。

忙しい人向け

  • 退去立ち合い時には、入居時に交わした契約書を持参したほうがいい。
  • 退去立ち合い時には、「録音します」と伝えてボイスメモを起動したほうがいい。
  • 不動産会社が何と言おうが、「東京都賃貸ホットライン」に電話で相談したうえで、内容証明郵便を送ればお金は返ってくる。

目次

時系列

  • 2022/07 居住開始。
  • 2022/10 猫を飼育開始することが決定。敷金追加、飼育届を出す。

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  • 2024/03/13 配偶者が退去立ち合いを行う。壁紙にも床にも傷がついておらず、においもないことを確認する。しかし、「猫を飼育していたら、壁紙と床のワックスはすべて張替える契約となっている(大嘘)ので、退去費は35万円かかる」と口頭で告げられたことを信じてしまい、請求書にサインしてしまう。
  • 2024/03/15 メールで「退去費は合計35万円、不足分を振り込め」という旨の請求書が届く。入居時に交わした契約書を筆者が確認し、「猫を飼育したら張替え」という契約にはなっていないことに気が付く。 東京都賃貸住宅トラブル防止ガイドラインを読み込む。
  • 2024/03/16 請求書を送ってきた担当者に電話し、契約書の内容に書かれていない金額が請求されている、かつ、紛争防止ガイドラインにのっとり支払いを拒否すると伝える。しかし、言い争い(マイルドな表現)になったため電話での話し合いをやめて、この後「内容証明郵便」で郵便で請求する旨を伝える。 また、同日に「東京都賃貸ホットライン」に電話で相談し、支払わなくてもよい旨を確認。また、指示に従い内容証明郵便を作成。
  • 2024/03/18 「10万円値下げするので、手打ちにしないか」と電話が来たため断る。オンラインで内容証明を送ろうとするがうまくいかない。
  • 2024/03/19 郵便局に行き内容証明を送付しようとするが、失敗。オンラインでの内容証明を再度行い、成功する。
  • 2024/03/21 「2024/03/21に配達完了しました」と配達証明が届く。配達完了日から2週間以内(2024/4/4まで)に振り込まれなければ訴訟となる予定だった。
  • 2024/03/29 無事に20万円が返金される

動き始めてから解決するまではちょうど2週間、内容証明郵便を送ってからは約10日。

相談した先・利用したURL・参考にした資料

  1. 東京都賃貸住宅トラブル防止ガイドライン*1

  2. 東京都住宅政策本部 賃貸ホットライン*2

  3. 敷金が満額返還されるためのポイント2点を弁護士が解説!|法律の悩みを解決するメディア リーガルモール(運営会社 ベリーベスト法律事務所*3

  4. e内容証明(電子内容証明)|日本郵政株式会社*4

具体的な対応

内容証明郵便の送付

実際に送った内容証明郵便をGoogleDocumentにアップロードした。 自由に閲覧することが可能となっている。 ただ、これをコピーして内容証明郵便を送ろうとしても、e内容証明では、GoogleDocumentで作成したファイルは送信できない。必ずWordで作成しなおすこと。 docs.google.com

記載した情報

上記の内容証明郵便を作成するにあたり集めて記載した情報は、下記のとおりである。 筆者は担当者とかなり揉めた(マイルドな言い方)が、それでも担当者に頼めば契約書のコピーの再送などは対応してくれるので、もし書類が見つからなかったり、日付や担当者名がわからなければ相手に質問するとよい。

必要なこと 参照する箇所 説明
項目1 内容証明で送る文章を作った日 内容証明郵便を送付した日と同じにしたほうがいいのかはわからない。私の場合は同じにした。
項目2 物件の貸主の住所・氏名 「住宅賃貸借契約書」の「甲乙および媒介業者はこれに署名捺印した後、甲乙各1通を保有する」の下あたりに、「貸主・甲」と書かれている住所・氏名を丸写しした。郵便番号は省略してもよさそうだったので省略した。
項目3 いつ「賃貸借契約」を結んだか 「住宅賃貸借契約書」の「甲乙および媒介業者はこれに署名捺印した後、甲乙各1通を保有する」のあたりに書いた日付を参照。「重要事項説明書」に書いた日付は重要事項の説明を受けた日」なので、賃貸借契約を結んだ日とは異なる。必ず「住宅賃貸借契約書」を参照すること。
項目4 契約した物件の住所・物件名 「住宅賃貸借契約書」の「所在地(住所表示)」に書かれている住所とと、名称を記載した。階数と部屋番号が併記されていたが、物件内で部屋番号の重複はなかったので階数を記述しなくても部屋を一意に特定できると考え、階数の記載は省略した。
項目5 いつ人間が住み始めたか? 「入居日」ではなく、引っ越し日(人間が住み始めた日)を書いた。もし入居日を記入するとしたら、「住宅賃貸借契約書」の「契約期間」に書かれている開始日が入居日なのでそこを参照するとよい。
項目6 入居時に払った敷金の金額 「住宅賃貸借契約書」に添付されていた、貸主が発行した「敷金預かり書」に書かれている金額を参照し記入した。税金も混みで記載した。
項目7 ペットの飼育開始時に敷金を支払った日付 筆者の場合、「ペットを飼育開始することが確実に決まった時」に、ペット飼育に関する覚書の締結を行い、それとともに追加で一か月分の敷金の差し入れをすることに決まっていた。この時、貸主は追加で「敷金預かり書」を発行していたが日付が未記入だったので(ずさんすぎる)、筆者の銀行口座の振り込み履歴をさかのぼって日付を特定した。
項目8 ペットの飼育開始時に支払った敷金の金額 追加で発行された「敷金預かり書」に書かれた金額、もしくは銀行口座の振り込み履歴にある金額をそのまま記載した。
項目9 すでに払っている翌月分の家賃が、何年何月分であるか 翌月分の家賃、と口頭ではいうが書類上では正確に何年何月分の家賃として払ったのかを記載する。
項目10 すでに払っている翌月分の家賃の金額を記載 「住宅賃貸借契約書」の「賃料・管理費・共益費・駐車料費・及び雑費・付属施設料の支払い」に書かれた、「振込金額合計」の欄を参照して記載。振込手数料は実際に相手の手に渡った金額ではないので含めなかった。
項目11 「退去します!」の書類を送った日 筆者の場合、配偶者がオンラインで退去連絡をしていたため退去連絡を送った日のスクショから日付を特定した。手紙で出している場合はどの日付を書けばよいかはわからない…。
項目12 「退去します!」と送った書類うえで退去日となっている日付 項目11で送った「退去します!」の書類上で退去日として相手に伝えた日。引っ越しして人間が住まなくなった日ではない。
項目13 実際に退去日となった日 |項目11で送った「退去します!」の書類上で退去日として相手に伝えた日ではなく、その後の諸々の調整などを挟んだうえで本当に退去日となった日。筆者の場合は退去立ち合いの日。
項目14 敷金から差し引かれる項目・金額(消費税込みであることを明記) 東京都のガイドラインによると、本来は借主がきれいに使っている場合はルームクリーニング代・エアコンクリーニング代を払う必要もない。特約で「貸主が払う」と事前に書かれていても、ガイドラインのほうが優先される(ガイドラインに反する特約は無効となる)ため、払う必要はない。そのため、本来はここに記載される内容は「残日割り家賃○○日分(○万○○○○円)、合計○万○○○○円を差し引いた結果…」と書くだけでも良い。筆者の場合はこの内容証明郵便を作成したときに猫を飼っていることの負い目・大家業をすることの大変さなどへの同情があり、払うことにしたため記載した。後日、特約に書かれていたクリーニング代6万円は相場的にぼったくられていたことが判明したため今はこの選択を後悔している。
項目15 相手に返してほしい金額 敷金・来月の家賃として払った金額-家賃などの払う費用を記載する。筆者の場合はここに当てはまる金額が20万円だった。
項目16 退去費の請求書(敷金精算書)にかかれている発行年月日 退去費の請求書の右上あたりに書かれていることが多い。
項目17 退去費の請求書(敷金精算書)に書かれている項目のうち、払うべきではないと思っている項目 筆者の場合は請求書に「①日割り家賃②ルームクリーニング代③エアコンクリーニング代④クロス張替え(壁)⑤クロス張替え(天井)⑥床WAX剥離洗浄」の6つの項目が記載されていた。このうち「④クロス張替え(壁)⑤クロス張替え(天井)⑥床WAX剥離洗浄」を払う必要がないと結論づけていたため、この3項目を記載した。
項目18 退去費の請求書(敷金精算書)に書かれている項目のうち、払うべきではないと思っている項目の合計金額 税込みでとりあえず計算した
項目19 相手から送られてきた退去費の請求書(敷金精算書)に書かれた、追加で支払いを命じられた金額金額 筆者の場合、請求された費用が敷金・家賃で相殺しきれなかったため追加で3万円の支払いを請求されていたため、その金額を書いた。敷金で相殺しきれる範囲だった時の書き方はわからないので別途調べてほしい…
項目20 払うべきではないと思っている項目の説明 ここは「ガイドラインによると~」という記載でも良いらしい。筆者の場合、相手から傷などの明示がなかったため、その旨の記載をした。
項目21 払うべきではないと思っている項目の最終列挙 項目20で書いた内容をまとめた
項目22 今まで相手に払ってきた敷金・来月分の家賃の列挙 項目6,項目8,項目10で書いた内容をまとめた
項目23 振り込んで欲しい口座情報 筆者の口座情報を記載した。配偶者が契約主だったが、筆者の口座を記載しても問題なく返金してくれた。内容証明郵便を夫婦連名で出したからかもしれない。

かかった費用(6491円)

  • 2345円 内容証明郵便 送信費用 2,345円(内、配達証明代が350円)
  • 200円 窓口から送ろうとした内容証明郵便コピー代(窓口から送れなかったのでゴミになった。最初からWebで頑張ればかからなかった費用)
  • 3946円 3月の通話料金(基本料等は除く)。賃貸ホットラインが固定回線だったため、携帯電話からかけることによって通話料金はかなりかさんだ。担当者と電話で何十分も言い争った分の通話料は完全に無駄だった。担当者に払わないと電話で言っても意味はないので、さっさと賃貸ホットラインに電話しておくべきだった。

最終的に相手が受け取った金額

  • 約6万円 ルームクリーニング代(ガイドラインと賃貸ホットラインの担当者によると、ルームクリーニング代も払う必要はなかった。しかし、猫を飼っていた負い目があり払ってしまった。後でルームクリーニング代6万円は普通にぼったくりだったことを知った。払うべきではなかった。)
  • 約2万円 エアコンクリーニング代(同上。これも払う必要はなかった)
  • ○万円 残日割り家賃

最後に

何度も心が折れそうになった。こんなにめんどくさいなら払ってしまってもいいかな、と何度も思いかけた。(実際、配偶者は払ってしまってもいいと思っていたそうだ)。心が折れなかったのはTwitterの猫仲間の方々と、愛猫のおかげだった。本当にありがとう。 返ってきたお金で、愛猫にはカリカリーナの高級爪とぎを献上した。毎日使ってくれている。カスの不動産会社にお金を渡すぐらいなら、高級爪とぎを買ったほうがいい。

愛猫onカリカリーナ
www.caricarina.com

*1:https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-3-jyuutaku.htm : 東京都賃貸住宅トラブル防止ガイドライン傷などがない場合、次の入居者のためのクリーニング・壁紙の張替えなどにかかる費用は負担しなくてもいいことなどが書かれている。不動産会社は「賃貸住宅トラブル防止ガイドラインにも書かれていますが、あなたが払うものなんです」と大嘘ぶっこいてくるので、相手の言うことをうのみにしてはいけない。信じていいのはこのガイドブックだけ。具体的な内容証明郵便の送り方などは書かれていないので、必ず賃貸ホットラインにも電話で送り方を確認すること。

*2:https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/300soudan.htm: 東京都住宅政策本部 不動産相談(賃貸ホットライン)一番頼りになった。何度か電話をかけてやっとつながる。あきらめずにかけなおす。 筆者の場合は繁忙期のためか、かなり不安になる不愛想な担当者にあたった。しかし、こちらから事情と想定している対処法を伝えれば、対処法に間違いがないか、間違いがあればどうするべきなのかを的確に指示してくれる。ガイドラインには書かれていない書類の送り方などを確認するのに最適。

*3:https://best-legal.jp/refund-deposit-495/ 具体的な内容証明郵便の書き方(あて名は?貴社でいいの?など)が分かるため、かなり参考にした。しかし、掲載されているWordファイルのフォーマットをそのまま使うことはできなかった(レイアウトなどが内容証明郵便で送れるものではなかった)ため、かなり修正する必要があった。

*4:ここから内容証明郵便を送る。死ぬほど使いづらいサイトだが、郵便局経由で送るときよりも制約が厳しくなく、何度でもチャレンジできるので、「内容証明郵便送ったこと何度もあるぜ!」という人以外はe内容証明を利用することをお勧めする。内容証明郵便を送ったことがない人にとっては信じられないぐらい手紙としての規定が厳しいので、必ず「e内容証明(電子内容証明)操作説明書・文書ファイル雛形」に沿っているかどうか確認すること。筆者が引っかかったポイントは、Google Documentで作成したdocxファイルは使えないこと(Microsoft Word 2016, 2019, 2021,Microsoft 365(デスクトップ版のWordのみ)で生成したDocxファイルしか認識しない。JIS第1、2水準範囲の文字外が含まれていると認識しないこと。など。